施術の対象


体表の鍼の対象や特徴など

自分の身体的体験を熟知すると、事象の解釈がどの程度「感じ」方によって形成されるかをいっそう学ぶことができるようになる。

サイモン・H・フィッシャー著 「からだの意識」より

  1. 施術の対象
  2. 施術の特徴
  3. 適応でない場合
  4. ここで行っていないこと




施術の対象


鍼施術は子供からお年寄りまで、そして虚弱な体質の方から元気にスポーツや演奏などをされている方も対象となります。
また、以下のような方に向くと考えています。

○できるだけ薬に頼らず自身の治癒力で問題を改善していきたい方
○刺す鍼、灸、強揉みマッサージや指圧、電気機械治療が苦手(嫌い)な方
○病院の検査では問題がないと言われたが不調を抱えている方
○病院での治療であまり効果が望めない方
○手術や歯科治療の前後で心身を整えていきたい方
○身体がガチガチに緊張していている方
○慢性的に疲れている方(疲労感が続いている方)
○不安やストレスを解いていきたい方
○自信を失っている方
○自分の感情がよくわからず気持ちを表現することが苦手な方
○敏感で繊細で疲れやすい方

慢性的な症状に関して一度も病院を受診していない場合、まず病院を受診して検査を受けることをお勧めする場合があります。



  

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施術の特徴


体表の鍼を専門に行っています。
ターゲットは体表であり皮膚表皮のツボです。

他の手法(刺す鍼、置鍼、お灸、マッサージ、指圧)や機械・電気などを併用することはありません。
そして全ての方の施術を最初から最後までひとりの施術者が行います。


体表の鍼施術に関する5つのポイント

①安全性

当院では直径0.12mmのごく細い使い捨て鍼(ディスポ鍼)を使っています。
(シリコンコーティングがされていないタイプの鍼です)
そして体表のツボに明確に意識できない程の微細な鍼をしています。

また「提鍼(ていしん)」と呼ばれる金属製の棒(下の写真)を補助的に使うこともあります。
こちらは接触を感じます。
出血、内出血することもなく、気胸、折鍼などの心配も不要です。



②双方向性

患部やコリ(硬結)や圧痛点に鍼をしていません。
この病気(病名)にはこのツボ、といったやり方もしていません。
体表のツボを探して鍼をしています。

ツボの位置は教科書通りのこともあれば、異なる場合もあります。
同じ病名でも体表へのツボの現れ方は人によって異なりますし、同じ方でも様々な要素でツボの位置や状態が変化していきます。
そのため訓練された手の感覚を基に、毎回最適なツボを探しその状態に応じて鍼をしています。
たとえ同じツボに鍼を当てても施術者(の技量)によって効果は全く異なります。
そして身体の反応(変化)を様々な要素で確かめながら進んでいきます。
体表のツボとの非言語の直接的なコミュニケーションであり、その時その場その方の個性に応じた施術です。


③自立(学習)性

習慣的(慢性的)な問題を根本的に改善していくのは、絡まった糸を解いていくのに似ています。
一時的に麻痺させたり、注意の焦点を強制的に変えるといったショック療法的なやり方ではなく、少しずつ効果を積み重ねていくことが重要です。
そして体表の鍼はそういった刺激-効果を学習し、自然にできるようになっていくための施術です。
(詳しくは下記の「鍼刺激と習慣」ををご参照ください)


④全体性

体表のツボへのシンプルな鍼です。
シンプルですが皮膚の統合的な役割によって幅広く対応できます。

そして東洋医学的な考え方で行っています。
たとえば、目の奥が痛くて、頭痛がして、便秘で、腰が痛くて、イライラ感がある場合に、それぞれの問題に対して病院(科)を回ったらそれぞれ薬が出てくることでしょう。
そして生真面目に全部の薬を飲んでいけば問題は更に拗れていくかも知れません。

東洋医学では、それらの問題を一つの全体的な傾向(習慣、癖、偏り、証)と捉えます。
最も気になる問題(主訴)が解決していくと、それに連なって他の問題も少しずつ変化していくことは多いです。
個々の部分だけの最高を目指すのではなく、全体の最適を目指す施術です。


⑤主体性

病院での検査は客観的な指標として分かりやすく重要です。
しかし調子が悪くて検査を受けても、明確な異常がないことは多いです。
検査数値に出るような「病気」になる前にバランスを調えていくことは、慢性症状を少しずつ改善していくことと並んで東洋医学が大切にしている分野です。
施術を続けていくことで偏りや疲れに気づきやすくなります。
そして大きく溜め込み大きく落ち込む前に解消するようになっていきます。
心身の調子に対してより主体的になることを目指す施術です。

もちろん鍼と病院治療との併用も可能です。
現代医学と東洋医学の特徴などをご自分で調べていく程、目的によって上手に使い分けしていくことになるでしょう。



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施術の適応でない場合


急激で重篤な症状の場合

脳血管障害が疑われる急激な頭痛など、これまで経験したことがないような症状はまず病院へ行くことをお勧めしています。
緊急の処置が必要と思われる場合は病院(での検査)が最優先です。
慢性的な症状で一度も病院を受診されていない場合も、まずは病院で検査を受けることをお勧めする場合があります。

それ以外では、

などは施術を控えた方がよいと思います。



強い刺激で一時的に問題を抑え込む(飛ばす)ことを求めている場合
 
習慣となった緊張や慢性的な疲れの解消は短慮性急に即効を求めるのではなく、焦らず地道に取り組んでいくことが大切になります。
何か強い刺激で一時的に問題を抑え込む(飛ばす)即効性を求めている場合は当院の施術の適応ではありません。
鍼治療によって魔法のように問題が消える(飛ぶ)わけではありません。
当院の鍼はご自身の治癒力でよくなっていくサポートであり、ある種のトレーニングです。

詳しくは「方針」などをご参照下さい)

「ここで鍼を受けると何か元気になるから。何となく楽になるから。」と続ける場合はそれに越したことはありません。
基本的に子供はそうですし、男性よりも女性にそういった場合が多いようです。



施術後の反応がイヤな場合

施術後に心身の揺れ動きが生じることがあります。
(具体的には「施術後の反応」をお読みください)
そういった反応は治癒プロセスの一部です。
反応が出ないこともありますが、「反応が出ないように」と希望される場合は施術することができません。
あらかじめ代表的な施術後の反応を読んでおくと、不安は軽減されるかと思います。

また、慢性的な問題から回復していく過程では山や谷があります。
一時的に問題が悪化したように感じられることもあるかも知れません。
そういった変化を乗り越えながら全体として少しずつよくなっていきます。
「鍼治療の頻度や回数について」をご参照ください)



他の治療院に通っている場合

他の刺激治療(刺す鍼やマッサージ、電気・機械治療など)は、ここでの鍼の効果を下げることがあります。
またそれらを続けてきた場合、ここでの鍼で変化を実感するのに時間や回数がかかることがあります。
併用はしないで下さい。
消炎鎮痛剤(痛み止めやシップ)などを常用している場合もここでの鍼治療をお断りすることがあります。



その他

鍼をすることが難しい場合は施術をお断りすることがあります。
たとえば、

などです。


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ここで行っていないこと


刺す鍼、電気治療、お灸、あんま、マッサージ、指圧

刺す鍼(置鍼)、強く押す・揉む(マッサージや指圧)、お灸、電気・機械治療などは行っていません。
体表の鍼を専門に行っています。
強い刺激や派手な技、特殊な道具などはありません。
ごく微細な刺激で、「何かやってもらった感」もありません。



希望される部分(ツボ)への鍼

希望される部分(ツボ)への鍼はしていません。
全体のバランスを観て、毎回ツボを探して鍼をしています。
基本的に症状が出ているところに鍼をすることは少なく、コリ(硬結)や圧痛点に鍼をすることもありません。

たとえば足の指や足首に常に力が入っている(無意識に力を入れ続けている)と、やがて膝や腰などに痛みが生じます。
その膝や股関節に何か治療をしても、足の指や足首の慢性的な緊張が解消されなければ問題は戻ってきます。
肩や首、頭(頭痛)に問題が出ている場合も手首や手指に力が入り続けていることが多いです。
鍼灸(東洋医学)では手足の末端に主要なツボが多く設定されていますし、実際のツボ(反応)も末端に出ることが多いです。



西洋医学的な説明や心理カウンセリング

西洋医学的な説明や心理カウンセリングなどは行っていません。
たまに「これは○○病ですか?」「この薬はどうですか?」などと聞かれることがありますが、それらに答えることができるのは法的に医師(薬剤師)だけです。
西洋医学的な見解を聞きたい場合は医師に質問して下さい。



施術後の詳細な説明など

質問にはできる限りお答えしますし、必要と思われる話はします。
しかし言語化したり他者から言われることで逆に失われたり固執したりして、回り道になることは結構あります。
そのため敢えて伝えないこともあります。
基本的には自分で気づいて理解することが大切であり、ここでの鍼はそのサポートやきっかけです。
たとえば施術後に「何をしたらいいですか?」などと聞かれると、特に何もしないで変化を感じるように勧めることが多いです。



物品販売や勧誘など

物品販売や高額セミナーをはじめ、宗教・政治・ビジネス等の勧誘は一切行っておりません。
(こちらに対しても行わないでください)



保証など

「○○病を治します(治ります)」「○回でよくなります」などの宣伝・保証はしていません。
これまで習慣的な緊張や疲れが解けていくのに伴ない様々な問題(症状)がよくなっていくのを見てきましたが、人によってそして状態によって異なり保証できる類のものではありません。
鍼はきっかけとなりえますが、緊張を解いていくのは本人の認識や理解であり、治るのは備わっている治癒力のおかげです。



         
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